概要
2026年6月13日放送の「ドラえもん」では、『大スタージャイアン⁉』『万能クリーナー』が放送された。前者は2019年放送の再放送であるが、後者は新作かつわさドラ初アニメ化作品である。
原作はてんとう虫コミックス42巻、小学三年生1990年2月号初出で、原作としてはかなり末期の作品になる。
そんな『万能クリーナー』では、マッドウオッチが登場するシーンがある。マッドウオッチといえば時間の流れを遅くしたり速くしたり、さらには時間を止めることができる道具としてタンマウオッチやウルトラストップウォッチと比べて汎用性の高い道具としておなじみである。また狂時機から驚時機と言葉狩りの影響を食らってしまった道具としてもまたおなじみである。
今回は『万能クリーナー』では万能クリーナーで吸い込んだスネ夫の落書きを内緒で主に戻すために、マッドウオッチを作動させ時間を止めて作業をした。ちなみに原作では道具名は出てこないので、奇跡的に言葉狩りの被害を逃れていたりする。
倍数カウンターについて
マッドウオッチには「倍数カウンター」なる表示板が内蔵されていて、時間の速さをいじった際に、1分あたりの倍率を示す役割を果たしている。初出回『マッド・ウオッチ』では60倍速に設定し、1分に1時間分の時間を経過させていた。
原作『ひろびろ日本』では、初めて時間を完全に止める効果を発揮する。その際、表示板はもちろん0倍速になる。これはわさドラアニメ版も同じである。
謎改変
さて本題の『万能クリーナー』について。時間を止めるために使用するので、『ひろびろ日本』での例があるように倍数カウンターは0になる。これは原作、1990年放送大山ドラアニメ版共通である。…が、今回放送されたわさドラアニメ版では時間を止めているのにも関わらず1/1000という数値がカウンターに表示されていたのだ。



原作・大山ドラ版ともに倍数カウンターは0だが、今回のわさドラ版のみ1/1000に設定されている。話の流れは原作に沿っており、セリフからは時間を止めていることがうかがえるのだが……1/1000倍速では時間は停止しておらず、ものすごくゆっくり時間が流れていることになってしまう。これはいったいどういうことなのだろうか。原作でも0倍速に設定されているので、意図的に改変したと考えるのが自然である。わざわざ時間を完全に止めなかった理由に、一つ思い当たる節がある。
『のび太と緑の巨人伝』での設定
映画『のび太と緑の巨人伝』を思い出していただきたく、必要な部分だけ超ざっくり説明するとタンマウォッチが作動し地球全体の時間が停止したことにより緑の星からの侵攻の影響を全く受けず、地球は無事に済んだというものである。原作ファンの皆様からすればもうおかしいことに気が付くだろう。緑の星の侵攻の影響を受けないということはどういうことか。タンマウォッチで時間を止めようが外部からの影響は受けるだろうと。タンマウオッチ初出回の原作『時間よ動け~っ‼』を見てみるとわかる通り、のび太は時間が止まった状態でジャイアンとスネ夫の身体に落書きをして仕返ししている。つまり外部からの攻撃を受けているのだ。
『のび太と緑の巨人伝』では、タンマウォッチに停止した時間ではすべてがその空間に固定されて固まり、動かせなくなるという独自設定を用いている。映画版では少々分かりにくいものの、2023年に発売された小説版で挿入されたオリジナル展開で、明確な描写がある。
ノートなんかめくれかけた状態でそのまま固まっている。のび太は近づいて指先でノートに触れてみた。カチンコチンだ。どんなに力を入れても動かせない。
「小説 映画ドラえもん のび太と緑の巨人伝」涌井学(小学館)p.15より
このように明確に設定が異なることが分かる。原作でこの設定が使われていたら、せっかくタイムマシンの存在を思い出しても机の引き出しを引くことはできなかっただろう。
もしかすると、この設定を今回のマッドウオッチに持ち込んでいるのではないだろうか?この設定であればジャイアンが持っているノートを取って広げて作業することなどはできないはずだ。もし、時間が少しだけ流れていたらどうだろう。ノートが高速移動するだけで、この設定の矛盾は回避できる。完全に時間を止めることを避けるために1/1000倍速で時間を流したということである。
以上が私の仮説である。何をもって完全に時間を止めなかったのか、真相は闇だ…もし私の仮説が合っていたとしても、今更緑の巨人伝の、しかもタンマウォッチの設定を引っ張ってきたのかはさっぱり分からない。しかし、ひさびさにアニメドラえもんで面白い謎が投下されてじつに楽しかった!そして自分自身もこういう記事を書くのも間取りブログ以来で久しぶりですね。ありがとうございました。